ファジィシステム・ファジィ制御

実際のシステムを理論的に制御するには、そのシステムを数式で表さなければならない。しかし、実際のシステムの多くは、非線形の方程式で記述される。非線形なシステムを解析・制御するためには、非線形方程式を扱わなければならないが、その取り扱いは一般に困難である。そこで、一般的には、理論的な解析・制御系設計が確立されている線形システムで非線形システムを近似し、その線形近似システムに対して、線形理論を適用している。
しかし、図1からわかるように、非線形システムの非線形性が大きくなればなるほど、線形システムによる近似誤差は大きくなる。したがって、近似誤差が大きければ、近似システムに対する制御系を設計しても、もとの非線形システムに対しては、良い制御系とはならなくなってしまう。そこで、図2にあるように、局所的に非線形システムを線形化し、いくつかの線形システムを並列で用いるという方法がある。この考え方に基づいたシステムの表現を「ファジィシステム」表現という。

図2からわかるように、非線形性が強くとも、適当な数の線形システムを用いることで、より良い近似がなされる。ファジィという言葉は、「あいまい」という意味であるが、これは非線形システムを厳密に記述していない(あいまいに記述した)という意味で使われている。しかし、図1のように、1つの線形システムで、非線形システムを近似するよりも、図2のように、ファジィシステムで近似したほうが、近似誤差が小さいことが容易にわかる。実際、より多くの線形システムを用いれば用いるほど、より良く非線形システムを近似できることも理解できる。

では、倒立振子モデルを例にとって、具体的に説明しよう。

倒立振子の非線形システム方程式は以下の通りである。