確率システム制御

実際には、多かれ少なかれ、モデル化誤差の他にモデル化できない外乱の混入を考慮しなければならない。例えば、ヘリコプタの制御を考えた場合には、風の強さは時々刻々変化するし、ヘリコプタの高度を測る計器にも測定誤差が出る可能性がある。そのような外乱や誤差を確率的な変数(正規分布にした学確率変数)とみなし、制御則を設計する方法がある。これを「確率システム制御」という。実際に、ヘリコプタの姿勢を制御する場合には、風の強さや風の抵抗を考慮する必要があり、この制御方法は有効である。

以下に、確率的な雑音が混入したシステムの一例を示す。以下の図より、雑音が混入していることがわかる。しかし、システム(青線と赤線)は、目標値0に制御されていることがわかる。
確率システム理論の一つに、システムの状態の推定・予測する方法がある。以下の図は、カルマンフィルタと呼ばれる誤差分散を最小にする最適フィルタにより、システムの状態を推定した結果である。推定値(点線)が、システムの状態(実線)に追従し、良好な推定がなされていることがわかる。システムの状態をなるべく正確に推定することは、システムを制御するうえで大変重要なことである。本研究室では、カルマンフィルタの他、H∞フィルタや誤差分散を指数部に持つリスク鋭感フィルタなどの研究も行っている。また、同様な理論により、システムの未来の値を予測することも可能である。実際に、人口予測、ゴミの量の予測などに応用できる。