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研究内容RESEARCH

 研究の成果は論文や学会発表で随時公表しています。また、これらの発表物の著作権に問題のない程度に下記に紹介します。

非接触給電システム

マルチコイルワイヤレス送電システムの基礎研究

 ワイヤレス送電システムは電力を電子機器に飛ばし給電する技術です(非接触給電とも呼ばれています)。比較的古い技術により実現できますが、携帯電話などの充電手段として製品として実用化されるようになったのは、つい最近のことです。実用化されている製品は、その他にPCのマウス、ゲームのコントローラ等がありますが、ワイヤレスで送電できる距離は非常に短く、消費電力が小さい製品に限られています。
 ワイヤレス送電による給電は従来のケーブル給電に比べると動作効率が悪いうえ、送電距離が長くなるとさらに効率は悪化します。そのため送電距離が長く、大電力を必要とする製品は苦手としています。そこで、送電距離が距離が長くても効率良く送電できるシステムの研究が、様々な大学や企業で行われています。
 私たちが、提案・研究を行っているマルチコイルワイヤレス送電システムもその一つです。従来のワイヤレス送電システムは送電側に1つ、受電側に1つのコイルを使用する単相のシステムですがマルチコイルワイヤレス送電システムは角側に複数のコイルを使用します。写真は小容量三相ワイヤレス送電コイルのプロトタイプとサイズ比較のための単3乾電池を写したものです。三相ワイヤレス送電コイルは、受電コイルの位置が送電コイルよりずれたとしても安定に送電でき、また漏れ磁界が少ないため周辺機器への影響が少ないという特長があります。

無人搬送車(AGV)へのダイナミックワイヤレス送電

 ワイヤレス送電はケーブルを使用しないため簡単便利に電子機器の充電が行えることがメリットの一つですが、さらに大きなメリットとして移動している機器への充電も可能な点が挙げられます。写真はAGVへワイヤレスで電力を送っているところです。AGVの運転軌道に沿って三相送電コイルが設置され、AGVに搭載された受電コイルに電力を送っています。これによりバッテリーレスでAGVを稼働でき、積載スペースの増加や充電の手間や時間を省くことができます。将来的には電気自動車への応用が期待できます。



 


三次元ワイヤレス送電

  既存のワイヤレス送電コイルの多くは受電コイルの水平的な位置変動しか対応できず、また受電コイルの向きも限られていました。三次元ワイヤレス送電システムは三次元的にコイルを構成することで、受電コイルの三次元的な位置や角度にも対応し、送電することが出来ます。写真は円筒型三相ワイヤレス送電コイルを使って、位置や角度が変化する受電コイルに電力を供給し、それにつながるLEDを点灯させているところです。


 

電界結合型ワイヤレス送電

 電界結合型はコイルの代わりに平板電極を使用し、電極間に生じる電界を使ってワイヤレスに電力を送電します。コイルを使用する磁界結合型と比べて構造がシンプルであるため、電極を広く安く設置することが可能です。一方、電極間の距離を長くとることは難しく、また回路パラメータの設定がシビアである等の欠点があります。図では平板電極のズレに対しても安定に送電を行える回路の動作確認確認を行っています。


一部研究の実験動画を公開しています。リンクはこちら(youtube)

高周波インバータ

電流型インバータ

 インバータとは直流を交流に変換する回路のことです。数MHz〜数十MHzの高い周波数帯の交流を出力できるインバータの開発を行っています。高周波化には回路損失や漏洩電磁界の増加などの課題があり、これらを解決するための回路構造の提案とその検証や電磁界シールドの開発などを行っています。これら高周波インバータは研究室ではワイヤレス送電で使用されます。一方、インバータに限らず高周波回路では、使用されているコンデンサやコイルを小型化することができるため、得られた知見をDC-DC変換回路(直流の大きさを変換する回路)などへの転用することも考えられます。写真は6.78MHz電流型インバータで正弦波状の電流を出力することにより高調波磁界を抑制することを目的としています。


高周波磁気デバイス

ワイヤレスコイル 高周波インダクタ

 近年、高周波パワーエレクトロニクス回路の開発が進んでおり、周辺のインダクタや変圧器、ワイヤレスコイルのような磁気デバイスの高周波化が必須となっています。一方で、高周波化により磁気デバイスの損失構造が複雑となり、最適設計も複雑化しています。 磁気デバイスは、一般的に磁気材料とコイルの二つから構成されており、それぞれが非常に重要な役割を果たしています。本研究室では、高周波磁気特性測定に基づく磁気材料の選定やコイルの最適配置・形状探索を含めた最適設計法の開発を行なっています。設計では、汎用のソフトウェアも使用しますが、汎用ソフトウェアには実装されていない実際に我々が提案した(する)解析法も使用します。 また、最適化技術や機械学習技術に代表されるAI技術も高周波磁気デバイスの設計に取り入れ、高速かつ高効率な設計法の開発も行なっています。
 左図は、学生が実際に設計したワイヤレスコイルと高周波インダクタになります。これらには最新の磁気損失測定技術とAI技術が用いられています。


AIによるリアルタイム制御

仮イメージ

 


バナースペース

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